一つの会社で勤め上げる…
勤続年数とともに昇給…
終身雇用制度や年功序列のしくみが、当たり前ではなくなった今では、ボーナスの支給がなくなる可能性を考えて、35年払い・ボーナス払いナシの住宅ローンを組む方もふえてきました。
しかし、以前はボーナス払いも含めて組むのが当たり前。
金融機関や不動産会社においても、「ボーナス返済アリにすることで、月々の返済額がグッとさげられる」と、アピールしていました。
ところが、最近ではさまざまな事情によって、年に二回やってくるこのボーナス払いが重くのしかかり、返済苦に陥ってしまうケースがとても多くなっています。
この記事では、もうボーナス払いが続けられない…そうなってしまった時、あなたにできる対処法を5つお話ししていきたいと思います。
この記事の目次
住宅ローンのボーナス払いができなくなる原因
やはり、圧倒的におおい原因としてあげられるのは、景気の影響をうけてしまった勤務先の業績不振。
一番はじめにその影響をうけてしまうのは、やはりボーナスでしょう。
今までは年に二回、給与ひと月分プラスアルファの支給があったのに、それが一回にへり…金額がさがり…やがてはボーナスカット。
それでも足りなければ、減給ということもあるかもしれません。
それだけでなく、労働条件や労働環境まで悪くなってきてしまえば、転職せざるをえない状況にまで追いつめられてしまうこともあるでしょう。
早期退職ならまだしも、突然リストラをされてしまったりすれば、ボーナス払いだけでなく月々の返済もできない、ということになりかねません。
その他にも、子どもの成長にともなって、家計費はふえていくのに給料は据えおき、家庭を支えるために奥さんの収入がへってしまった、年金暮らしになってもボーナス払いがつづいてしまう返済計画。
”ボーナス払い”が払えない事情はさまざまですが、ひとつ言えることは、これまでに挙げたような原因によって、ボーナス払いができない状況になっているとすれば、遅かれ早かれそのうち月々の返済もできなくなる、ということです。
このまま住宅ローンが払えなくなったら?
住宅ローンのボーナス払いがキツい…このまま払えない状態がつづいてしまったら、明日にでも家を追われてしまうのでは。
そう不安に思われているのではないでしょうか。
安心していただきたい、というワケではありませんが、一ヶ月や二ヶ月の延滞で、すぐに家を追われるようなことにはなりません。
もちろん払えない状態がつづいていけば、最終的には強制退去ということにもなるでしょう。
そうなってしまえば、あなただけでなくご家族にとっても、精神的な負担をおわせてしまいかねません。
何ヶ月も延滞をおこしてしまって、首が回らないような状態になってからでは、できることも限られてきてしまいますから、一日もはやく相談をして、対策をするべきでしょう。
あなたには「妻や子どもたちに迷惑をかけたくない」という想いもあるでしょうが、今の状況からあと一~二ヶ月で元にもどるのか、しばらくはつづいてしまいそうなのか、もしかしたら今よりもっと状況が悪化してしまう可能性があるのか。
希望的観測ではなく、あなたのなかで現状を冷静に判断するコトが大切です。
払えない時の5つの対処法
1.月々の給料から捻出する
この記事をお読みになっている時点で、「もうすでにやりくりしているよ!」と思われるかもしれませんね。
多くの場合、住宅ローンのボーナス払いの金額は、月々の返済額よりも少しおおめに設定してしまっています。
そのため、毎月の給料からそのボーナス返済分を工面するというのは、かなり大変なことですし、たとえ数か月はできたとしても、それを何年もつづけるとなるとどうでしょうか。
とはいえ、家計の見なおしは、もう一度おこなってみて欲しいところです。
細かいことかもしれませんが、光熱費は自由化がすすみ、条件があえば安くすることができるようになりました。
通信費も以前にくらべ、かなり格安にすることができるようになっています。
趣味・嗜好などにおいても、この先ずっとではなく、今この時を乗りこえるため、一時的におさえるという観点から、節約できることは一つもないでしょうか。
ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、年間にしてみると大きなことですから、あなただけでなく、ご家族とも協力しあいながら、とにかく今はムダを減らすことを考えましょう。
2.副収入を得る
最近では、副業を認める会社もふえてきました。
数万円程度の補填であれば、何ヶ月かしのぐことはできるかもしれませんが、スグに収入が得られるようになると、約束されているものばかりではなく、あまり現実的ではないかもしれません。
また、稼がなければという焦りから、詐欺にあってしまったりするケースも少なくありません。
苦しい状況にある時だからこそ、上手い話には慎重になりましょう。
3.返済計画を見なおす(リスケジュール)
あなたが住宅ローンを組んでいる金融機関に相談して、返済計画の見なおしをおこなうこともできます。
ボーナス払い分を、月々の返済に均等割りをしたり、返済期間の延長をすることで、月々の負担をへらしてボーナス払いに回したり、あくまで金融機関がOKしてくれれば、ということにはなりますが、方法のひとつではあります。
まだ延滞はおこしていないということであれば、実際に延滞をおこしてしまう前に相談にいった方が、あなたの誠意も伝わるでしょう。
金融機関としても、あなたが返済できなくなってしまうことは、絶対にさけたいという考えですから、色々と提案してくれたりすることもあります。
4.住宅ローンを借り換える
借り換えをする一番の目的は、とにかくボーナス払いをなくして、返済を均等割りにすることです。
トータルで見たときに、今の返済よりも損をしてしまうことは考えられます。
しかし、住宅ローンの返済というものは、何十年とつづくものですから、ボーナス払いがキツいことで、最終的に月々の返済までできなくなってしまうのであれば、借り換えということも検討すべきでしょう。
ただ、借り換えにおいても、あなたの収入証明を提出したり勤務先や勤続年数をみたりと、再審査をすることになります。
今の時点で、支払いが遅れがちであったり、すでに滞納などをしてしまっていると、借り換え審査が通らないという可能性もありますので、ただ闇雲にローン審査の申し込みをすることはオススメできません。
いわゆる申し込みブラックと言われたりもしますが、審査結果にかかわらず、審査をした履歴はのこってしまいます。
いくつもの金融機関に同時期に申し込んだ履歴があるだけで、借りられるだけ借りて自己破産をする気ではないか、などと警戒をして審査をおとすところもあるのです。
ですから、申し込みをする前に、住宅ローンにくわしい不動産会社などに相談をして、アドバイスをもらってから申し込みをした方が間違いないでしょう。
5.任意売却を試みる
本来、まだローンが残っている家を売却するときには、売却した金額でローンが全額返済できなければ、残りは自己資金で補填をして、残債をゼロにしなければ、売ることはできません。
あなたがローンを組んでいる金融機関と、そのような契約を交わしています。
任意売却というのは、ローン返済がむずかしくなってしまった方のための、救済措置としてもちいられる売却方法です。
カンタンに言ってしまうと、金融機関に交渉をして、残債がのこってしまうけれども売却を認めてもらい、のこった残債は売却をしたあとに、分割で返済していくということです。
金融機関からしてみれば、残債がゼロになったら売却していいよという契約をかわしたのに、約束を破られてしまうということになります。
そのため、誰もが申し出ればOKしてもらえる、というようなカンタンなものでもありません。
この任意売却は、交渉や手続きが煩雑なこともあり、個人が直接というよりは、どこかに依頼しておこなうのが一般的です。
通常の売却とは異なる、特殊な売却方法であるため、私のように任意売却を専門としている不動産会社もあります。
どこの不動産会社でも受けることはできますが、ほとんど取り扱ったことがない会社も多いので、依頼先は慎重にえらんだ方がよいでしょう。
この任意売却については、別記事『任意売却とは?競売との違いも含めてわかりやすく解説』にてくわしくお話ししていますので、こちらも併せて読んでみてください。
まとめ
ここまで、ボーナス払いが払えなくなったときの対処法についてお話ししてきましたが、あなたの状況がどれくらい切羽詰まっているかによって、難しい方法もあるでしょう。
何とかやりくりをして、節約しながらボーナス払いもし続けていくことや、空いた時間をつかって副収入をえるというのは、限界があるのではないかと思います。
あなたも、もしかしたら”家を手放す”ということに対して、マイナスなイメージしかないかもしれませんが、私がつよく申し上げたいことは、家を守るまえに、あなたとあなたのご家族の心身の健康を守ること。
これより大切なことなどありません。
先にも書きましたが、住宅ローンというのは何十年とつづくものなのです。
家と、あなたやあなたのご家族の健康、どちらの方が失ってはならないものか、よく考えてみてください。