今はインターネットで検索をすれば、なんでも調べられる、便利な世の中です。
「任意売却」一つ調べるにしても、たくさんの情報が出てくるでしょう。
しかし一方で、情報が山のようにありすぎて、混乱してしまうことも、少なくないですよね。
そうした中、任意売却がどういうモノかは分かったけど、やはり一般的な話ではなく、
「あなたの場合はどうなのか」
「あなたにとっての最善策とはなにか」
ここが一番知りたいから、今こうして調べているのではないでしょうか。
そして、それを知るために、
「任意売却については、どこに相談するのが一番いいのだろう…」
ということも、気になりますよね。
任意売却は、限られた時間のなかで、行わなければならない取引です。
だからこそ、一日も早く相談してほしいのは確かです。
しかし、あなたがその焦りから、相談先を誤ってしまうようなことは、絶対にあってはなりません。
なぜなら、任意売却が成功するか失敗するかによって、そのごのあなたの人生が、大きく変わってしまうからです。
ここでは、”任意売却はどこに相談するかで決まる”といっても過言ではない、業者選びのポイントや、気を付けなければならない点を、詳しくお話ししてきます。
この記事の目次
任意売却の相談はどこにできる?
借入先の金融機関
まず、あなたがローンを借り入れている銀行など。
ここでは、まずいきなり任意売却の話をするというより、別の記事でもふれていますが、”リスケジュール”を先に考えるでしょう。
返済計画の見なおしです。
あなたが返済不能になることを、銀行としても望んではいませんので、なんとかして返済をつづけていけないかと、あなたと一緒に、返済計画を考えてくれるでしょう。
しかし、銀行としても、さすがにすべてを許容できるワケではありません。
返済計画を見なおして、それでもやはり返済ができないようであれば、「任意売却」の提案をしてくることもあるでしょう。
その際は、銀行がそのまま任意売却まで一緒におこなうのではなく、仲介をする不動産会社を紹介してくれます。
銀行が紹介するくらいですから、知識や経験のとぼしい頼りない会社や、あまい話であなたを騙すような悪徳業者にあたることは、まずあり得ないでしょう。
なんといっても、銀行が信頼していつも取引している不動産会社ですからね。
ただし、いつも銀行と密につながっているところを紹介しているワケですから、任意売却における交渉において、銀行側に有利にはたらく会社、ということにはなります。
たとえば、残った住宅ローンの残債を、毎月いくらずつ返済してくか。このあたりの金額はあなたが銀行と交渉をすることになるのですが、本来は1~2万円ずつにしたいところを、3万円ずつにされてしまう、ということも考えられます。
あなた側に立つ不動産会社なら、この点、適切なアドバイスをして、あなたの交渉を有利に導いてくれます。
今後の生活の負担を、少しでも軽くするべく、あなたのために一生懸命、親身になって動いてくれるような、信頼できるパートナーを、ご自身でお探しになることをオススメします。
不動産仲介会社
こちらは、任意売却を専門としない、一般の不動産会社のことです。
もちろん、不動産の売買をあつかうこと自体は問題ありませんので、相談することはできます。
しかしながら、任意売却の取引というのは、通常の売買取引にくらべて、複雑な手続きや必要書類などもたくさんあり、ただ単に売主と買主のマッチングを行えばいい、というものではありません。
たとえ不動産業界での経験が、ウン十年とあったとしても、それまでに任意売却の経験なかったとすれば、学ばなければならない知識が、山ほどあるでしょう。
それから中には、受けるだけうけて、必要な交渉などが何ひとつ行えておらず、ただのんびり売却情報をだすだけ、という受け身の会社にあたってしまうこともあります。
そうなれば、時間が足りなくなり、競売しか選択肢がなくなることも考えられます。
任意売却についての知識や経験が、あまりないところに任せるのは、とてもキケンなことと言えるでしょう。
任意売却専門会社
先ほどの話から、知識・経験に関しては、専門でおこなっているワケですから、一般の不動産会社に任せるよりかは、安心して任せることができるでしょう。
任意売却を専門としているのは、どちらかというと、あなたが普段みかけるような、大手不動産会社というよりは、中小の不動産会社があつかっていることの方が多いです。
小さな会社がひとつの協会や団体に加盟することで、その団体が大きな会社のような感じに見えている、というところはいくつかあります。
あまり知られていない会社が多いことのひとつは、金融機関や専門士業などからの信頼が厚ければ、おもに紹介による依頼が中心となり、どんなに優秀な会社でも、あまり一般の方の目にふれる機会はないでしょう。
それから、これは一般も任意売却専門も共通していえることですが、仲介をする不動産会社は、仲介手数料という成功報酬のみですから、相談をすることに対して、料金はかかりません。
念のため確認を。
ここで相談料をとるといわれたら、その会社はやめておいた方がいいでしょう。
とにかく話を聞いてみたい、ということであれば、まずはお金をかけずに聞いてみるのもいいでしょう。
しかし、任意売却専門とうたっていながら、実際には提携しているだけだったり、実績のある大きな団体に加盟しているだけで、その担当自身はそんなに経験がなかったり、ということもあります。
中には、あなたの足許をみるような、悪徳業者もいたりしますので、そのあたりは、後ほど詳しくお話しします。
弁護士・司法書士などの士業事務所
最近では、士業の方が、債務整理や自己破産の一つの手段として、任意売却を前面にうたっている広告や、ホームページなども、見かけるようになりました。
士業の方々は信用商売といってもいいほど、信用を大切にしていますから、とても安心感がありますよね。
それから、任意売却をあつかうにあたっては、民法や税法、弁護士法などの法律の知識も必要とされます。
その点でみれば、弁護士は法律の専門家、まさに本業です。
しかしながら、弁護士・司法書士といった士業の方は、不動産取引の専門家ではありません。
不動産取引においては、宅地建物取引士の資格をもつ者が専門家です。
そのため、任意売却のための不動産査定や販売といった、不動産売買の取引そのものは、不動産会社につないで行う、ということになります。
業者選び7つのポイント
ここから、具体的にどんな業者を、あなたの任意売却をまかせるパートナーとして選んだらいいのか、そのポイントを一つずつお話ししていきます。
どこに相談したらいいんだろう…と、まだこれから相談先を決める段階はもちろんのこと、すでにどこかに相談に行ったという場合でも、なんとなく担当者に違和感を感じているようなら、ぜひチェックしてみてください。
一度、相談をしてしまったからといって、この先もずっとお願いしなければいけないワケではありません。
あなたやあなたのご家族の、今後の人生にもかかわることですから、どこに相談するかは慎重に選ぶべきです。
金融機関からの信頼
特に大きなトラブルがなければ、どの相談先でも任意売却を担当できるハズです。
たとえば、あなたが任意売却を依頼した担当者が、借入先の金融機関に対して、不正をおこなったり、大きなトラブルがあったなどの過去があり、交渉などがスムーズに進まず、任意売却ができなかった。
ということが、ごく稀にあります。
これは、あなたの問題ではなく、あくまでその担当者の問題です。
担当者の反応があきらかにおかしかったり、任意売却をするという意向に協力的でなかったり、違和感があるようであれば、別のところに話を聞きにいってみた方が、いいかもしれません。
幅ひろい専門知識
任意売却をおこなう担当者は、ふつうの不動産取引や住宅ローンの知識だけでなく、法律や税に関する知識もなければ、務まりません。
これらの知識は、金融機関との交渉を有利にすすめるために、どれも欠かせない知識なのです。
また、任意売却特有の手続きや、それらに必要なたくさんの書類、一般の不動産取引ではあつかうことのない、複雑な業務が山ほどあります。
ただ知識があればいい、というものでもなく、たくさんの交渉や調整がありますので、その際のコミュニケーションスキルも求められます。
まずは、あなた自身がわからないことを、なんでも遠慮なく聞いてみましょう。
それだけでも、あまり分かっていない担当者であれば、どこか不安を感じるハズです。
宅地建物取引士 資格保有
”宅地建物取引士”は、不動産取引において、専門家であるという証です。
大きな会社によく見られがちですが、その会社自体には、資格保有者が在籍しているが、あなたの担当者は保有していない、ということもあります。
全員が保有することは義務付けられていませんので、資格をもっていなかったとしても、営業することには問題はありません。
細かい話にはなりますが、不動産の売買契約をむすぶときには、重要事項説明書という書類をを、資格保有者が読みあげています。
その不動産に関する、重要なところは、正しい知識をもった者から、説明をしなければならない、そう義務づけられているからです。
では、たとえば営業をおこなった担当が、資格をもっていなかったとしましょう。
そのときには、重要事項はちゃんと資格をもった者が説明しました、ということの証拠に、不動産の契約書上には、その資格者の名前も載せなければなりません。
逆にいうと、それ以外の販売活動そのものや、ローン契約、引き渡しなど、資格のない者がおこなっても、問題ないのです。
たとえ、昨日から入った者であっても、問題はありません。
しかし、一般の不動産取引ならまだしも、任意売却を任せるのは、やめておかれた方がいいでしょう。
もしも、名刺に資格のことが載っていないようであれば、聞いてみてもいいでしょう。
宅地建物取引士の資格保有者は、免許証のような証明書をもっているハズです。
聞くのはちょっと…ということであれば、まずはホームページなどをチェックしてみるといいかもしれません。
経験と実績
ここは、結果を左右する大切なポイントです。
任意売却において、あなたとまったく同じ状況の方は、誰ひとりとしていません。
なぜなら、あなたと住宅ローン残高が同じ、家の査定金額も同じ、お勤めの条件や収入、手元の資金額や月々の返済額、生活費や家族構成…
同じワケがありませんよね。
そうなると、さまざまな可能性や解決案を見出すためには、その担当者がいかに過去の事例をもっているか。
そして、それらの事例がどれだけ成功しているか。
この経験値の差が、成功か失敗かをわける可能性は、大いにあります。
しかしここで、気を付けなくてはならないことがあります。
それは、大々的に「これだけの実績があります!」と、数字を前面にだしてアピールをしている会社です。
それだけの件数を、本当にあなた目の前にいる担当者が扱ったのか。
所属している協会や団体としては、実績があったとしても、その担当者に実績がなければ、意味がありません。
これも、あなたの質問にたいする対応で、見えてくるのではないでしょうか。
顔がみえる担当者
その会社のホームページやパンフレットなどから、あなたの担当者の顔をみることができるでしょうか。
最近は、そういった会社も多くみかけますが、悪徳業者などは顔を出したがらないでしょう。
最初の相談においては、電話やメールなど、対面でないこともあるでしょうが、あなたに会う時間をなかなか取ろうとしない、いつもメールばかりで電話がつながらない、などといったことが続くようでは、不安になりますよね。
メールの内容や電話での話し方もそうですが、その折り返しなどの対応のしかたにも、誠実かどうかがあらわれるのではないでしょうか。
それから、ホームページなどに、もしその担当者が載せているプロフィールやコメントなどがあれば、そこから人柄や信念などが伝わってくることもあります。
必ずしも、何かあるから顔が出せないというワケではないでしょうが、安心材料のひとつにはなるでしょう。
あなたの立場への理解
どうしても相談をしてこられる方は、「自分が払えなくなったのだから、自分が悪いのだ。」と、弱気になりすぎてしまうところがあります。
お気持ちはとてもよく分かりますが、誰だってそうしたくてしたワケではないでしょう。
こういった”弱気”な部分につけこんで、高圧的な態度をとったり、ことあるごとに「あなたが払えなくなってしまったのだから、もうこうするしかないでしょう。」といった、決めつけたような態度をとる担当者も、残念ながらゼロではありません。
しかし、あなたにも譲れないことや、叶えたい要望はあるハズです。
これはワガママなんだろうか…どうなんだろう…と、あなたの中で迷うようなことでも、躊躇せずとにかく話してみよう。
なんでも話せる、なんでも聞ける、あなたからそう思ってもらえるのが、本来、担当者のあるべき姿でしょう。
かといって、そんな信頼関係をきずける担当者であっても、たとえば「ダメなものはダメ」、などと言うこともあるでしょう。
それでも、頭ごなしでなく、あなたの思いや状況をよく考えた上で、それでもそう言っているのだからと、あなたも真摯に受けとめられるハズです。
あなたとの相性
任意売却というのは、そのとき一度キリでおわるものではありません。
早ければ2ヶ月ということもありますが、だいたい3~6ヶ月。
長ければ、1年以上のお付きあいになるのです。
お互い気持ちよく、良好な関係が築けていなければ、上手くいくものも、上手くいきません。
人間同士ですから、合う合わないがあるのは当然です。
そもそも、あなたとのコミュニケーションが、きちんと取れていない状態で、金融機関やその他の関係者との交渉や調整において、あなたに有利にすすめることなど、できるハズがありませんよね。
ここまで見てきた7つのポイントをふまえて、くれぐれも担当者は慎重に選んでくださいね。
すでにご相談をされている方は、今一度これらの観点から、その担当者のことを見てみてください
こんなケースは要注意!
あいまいな費用説明
ハッキリと、何にいくらかかるのかという説明がないケースです。
たとえば、あなたが費用の詳細について質問をしたとします。
すると”あなたには一切費用がかからない”ということだけ強調したり、あなたが分からないような難しいことをいったり、はぐらかして他の話をしはじめたり、こんなふうに対応をしてきます。
ここで一つ。
”一切費用がかからない”という点において、誤解のないようにお伝えしておきます。
これは、”今、現金としての持ち出しはない”という意味であり、少なからずあなたが支払う費用が一切ないワケではありません。
内容によって、かかる費用は異なりますが、
仲介業者への仲介手数料や、売却後の引越し費用、抵当権抹消・所有権移転などの登記費用、不動産鑑定費用、測量費用など、掛かってはいますが、すべて売却代金から捻出する、ということなのです。
ということは、売却代金の全額が住宅ローンの返済にあてられるワケではなく、これらの費用を差し引いた額が、返済にあてられているのです。
費用として差し引かれるものが多ければ多いほど、残債が残ってしまう、ということなのです。
ただし、あまり過剰に心配しないでいただきたいのが、なんでもかんでも費用にあてられるワケではなく、金融機関から許可をもらった費用しか認められません。
たとえば、引越し費用にしても、金融機関との交渉によって、認められなければ、差し引いて手元に残すことはできません。
このあたりの説明も、契約を取りたいがため、さもあなたの負担がないかように、話してくる業者がいます。
高額なキャッシュバックや引越し代支給
あなたの話を聞く前から、「100万円キャッシュバックする」とか「引越し費用として100万円を手元に残せます」、といったことを言ってくるようなケースです。
あなただって、これからの生活を考えれば、少しでも多く現金が手元に残ったら、嬉しいに決まっていますよね。
任意売却をするという方は、住宅ローンが払えないなど、とにかくお金がない状態の方も、少なくありません。
そんな心理につけこむ、悪徳業者もいるということを、覚えておいてください。
引越し費用として認められる相場は、だいたい20~30万円前後です。
結局、それ以上を認めてもらったとしても、それは後々あなたが返済していくことになるのですから、必要以上に残すことは、あまりオススメしません。
大手不動産会社
テレビCMや、チラシ、有名人を使用した広告など、誰もが知っているような大手不動産会社。
あなたも、何社か思いあたりますよね。
やはり、それなりに社歴や実績もあり、大手だから変なことはされないだろう、という安心感があるかもしれません。
しかしながら、大手不動産会社は、基本的には任意売却にそこまで積極的ではありません。
たくさんの支店をかまえているものの、その店舗に任意売却おこなった経験のある担当がひとりもいない、という方が多いでしょう。
正しい知識がないまま、一般の売却と同じような感覚であつかわれてしまい、時間がなくなって任意売却ができなくなってしまう。
そんな可能性も、考えられます。
任意売却専門の不動産会社とくらべてしまうと、やはり専門にしている分、経験値の差は大きいでしょう。
任意売却ブローカー
日本において、任意売却ブローカーというのは、宅建業者としての登録をしておらず、宅地建物取引士の資格などももたずに、不動産会社と相談者をつなぐことで、報酬を得ている個人事業者、といったところでしょうか。
ブローカー自身は無免許なので、直接的に契約にかかわったり、報酬を得たりすることはできません。
あくまで、最終的にはあなたと不動産会社をつなぐようになります。
建築士が副業がてらブローカーをやっていたりもするようですが、大半はあまりいい話は聞きません。
暴力団関係者がかかわっていたりするケースも、ゼロではないようです。
結局のところ、あいだに入ることで、紹介の報酬をえて、商売をおこなっているワケですから、あなたにとってみれば、余計な費用がかかることにしかならないでしょう。
まとめ
少しでも負担を軽くしたい…
条件がいい方がいい…
あなたやあなたのご家族の、今後の生活を思うからこそ、そうなさりたいお気持ちも、とてもよく分かります。
売却をして、それで終わりではないですからね。
だからこそ、条件の良いあまい話は、疑ってかかってください。
あなたが納得できる説明が、そこにはありましたか?
足許をみられてしまえば、それこそご家族を守れなくなるのです。
正しい知識をもった、専門家であることは大前提。
目の前にいる担当者が、あなたがご家族を守るために、信頼できるパートナーなのかどうか。
それは、人として信頼できるのかどうか、ということでもあります。
本当に、あなたのためを思っていっているのか、担当者自身の利益のためにいっているのか、あなたはそれを判断できる、冷静さをおもちにならなければなりません。