定年をむかえたら、のこりは退職金で完済するハズが予想外の事態。
会社の状況がかわってしまいボーナスカット…
業績悪化で転職せざるをえず大幅な給料ダウン…
親の介護と仕事の両立がむずかしくなり失業…
誰だって、マイホームを購入したときは、将来こんなことが起こるとは思いもしないかったでしょう。
だからといって、売却をしてしまったら、この家を出ていかなければならなくなってしまう。
そうなれば、あなただけでなく、大切なご家族の生活にも影響してくることになりますよね。
子どもが転校となってしまえば、仲のいい友だちもいるだろうに可哀想だな…妻が仕事をかえざるをえず、苦労をかけてしまうな…一緒にすむ両親も引越しとなれば、高齢になってから知らない地にいくのは不安だろうな…
色々考えてしまうと、ローン返済はキツいけど…
自分だけなら何とでもなるが、家族のことを考えると、やはり売却はさけたい。
そんな思いから、任意売却をためらうお気持ちもあるでしょう。
この記事の目次
任意売却をして住み続けるってそもそもできる?
売却とついていることもあり、なんとなく「任意売却=家を出ていく」というイメージがあるかもしれません。
たしかに、所有権は手ばなすことになりますが、一定の条件をみたすことができれば、賃貸と同じような感覚で、そのまま住み続けることもできるのです。
では、その一定の条件とは、一体どんなものなのか。
あなたのご家族の生活を、今のまま変えずに守ることができる、親子(親族)間売買・リースバックという2つの方法について、それぞれ詳しくお話しします。
住みつづける方法① 親子(親族)間 売買
読んで字のごとく…ではありますが、親子間・夫婦間・親族間などの、身内の方が買い取る不動産契約です。
当然、買い取るわけですから、所有権もあなたから買主である身内の方に移ることになります。
契約書面上、不動産会社などがあいだに入らずに、個人間売買として契約を交わすことがほとんどで、最近こちらの取引をしたいというご相談もふえてきています。
中でも、親御さんが住む家を、お子さまが買い取り、お子さまに対して住宅ローンの返済を行うことで、家を手放さずに住みつづけたいというご希望が多いです。
しかしながら、お子さまというのは、親御さんが亡くなれば、自然とその家を相続することになる立場にあります。
わざわざ、それを待たずに売買をおこなうという点で、金融機関から相続対策とみられかねません。
また、身内のあいだで売買価格を不当にひくく設定して、金融機関が融資したお金を、別の目的に使おうとしているのではないか、とみられる可能性もあります。
そういったリスクの大きい取引であるため、金融機関はあまり積極的にあつかいたくない取引であることを、前提としてお話ししておきます。
親子(親族)間売買のメリット・デメリット
メリット
・引っ越しをすることもなく、そのまま住みつづけられる
・身内への売却なので、他へ転売されずに家を守れるので安心
・内々での取引なので、近隣に売却したことを知られずにすむ
・月々の返済負担がかるくなるケースが多い
(無金利や長期返済計画などが可能)
・親子間であった場合には、相続対策になる
・販売活動をおこなう必要がない
デメリット
・親子間取引をあつかっている金融機関がすくない
・審査が通ったとしても、通常よりもローン金利が高くなることが多い
・第三者への売却より、ローンその他の手続きに手間がかかる
(不正な資金調達や、相続税のがれがないかなど、審査も慎重)
・取扱い経験のある不動産会社がすくない
・生前贈与とみなされれば、相続税がかかってしまう
メリット・デメリットをふまえて…
先にも述べましたが、親子間取引というのは特に、「あえて相続ではなく売却という方法を選択するのはなぜか?」という視点で見られてしまうので、成功のハードルはとても高い取引になります。
個人がなにかで調べたくらいでは、審査を通すことは難しい取引になりますので、専門業者にあいだに入ってもらう方がよいでしょう。
それから、こういった審査の履歴は、個人信用情報にのってしまうことになります。
むやみやたらに、あちこちで申し込みをしたりすると、その履歴が残ってしまい、次に審査する金融機関に影響するおそれもあるのです。
審査申し込みをする前に、専門業者の意見もききながら、しっかりと準備をしてのぞむべきでしょう。
住みつづける方法② リースバック
正式には「セル・アンド・リースバック」と言いますが、不動産における意味あいとしては、売却した不動産に、リース料(賃貸料)を支払って、そのまま住みつづける方法のことを、リースバックと言います。
そういった意味で、親子間取引もふくめてリースバックと呼んだりもしますが、ここでの定義は、身内ではなく第三者(信頼できる投資家や企業)に買い取ってもらい、リース料を払うことを”リースバック”として、お話ししていきます。
こちらの取引においても、今のあなたの家は、第三者(投資家や企業など)が買取ることになりますので、不動産の所有権はあなたから購入者へうつります。
購入者とは、売却後もあなたが賃貸としてそのまま住みつづける、賃貸借契約条件付きの売買として契約をするので、購入者が大家さんになった賃貸に住む、ということになります。
その家賃がいくらになるのかは、売却金額によってかわります。
年間賃料のめやすとしては、売却金額のおおよそ6~15%のあいだで、10%くらいになることが多いです。
たとえば、自宅を1200万円で売却し、その10%であれば年間120万円・月々10万円の家賃ということになります。
ということは、単純にいえば”売却金額が高いほど、月々の家賃も高くなる”ということですから、今のあなたが月々どのくらいの家賃なら払えるのかも、しっかり把握してから売却しなければ、リースバックをした意味がなくなってしまう可能性があります。
リースバックのメリット・デメリット
いいことばかりであれば、迷うこともないでしょうが、やはりメリットがあればデメリットもあるものです。
どちらも理解したうえで、任意売却をしてほかの賃貸住宅へ引っ越すのがいいのか、そのまま住みつづけるのがいいのか、慎重に決めなければなりません。
メリット
・引っ越すこともなく生活圏をかえずに、愛着ある家に住み続けることができる
・投資家や企業などが買主となるため、一般市場とくらべて買い手がつきやすく、比較的はやく売却できる
・ご近所からすれば全くなにも変わらないので、売却したことを知られずにすむ
・固定資産税などの維持管理費は、所有者がはらうことになるので、経済的負担がかるくなる
・手元にまとまった資金(売却代金)が入る
・生活保護の申請ができるようになる
デメリット
・所有権をうしなう(他の人のものになる)
・売却後の賃貸条件については、買主の意向がはいるため思い通りにならない
・売却金額によるため、家賃が相場より高くなる可能性がある
・将来また買い戻すことはできるが、ほとんどが売却した金額よりも高くなる
・一般市場での売却相場よりも、売却価格が安くなる可能性がたかい
メリット・デメリットをふまえて…
ここでのポイントは、「本当にそこまでする必要があるのか」というところではないでしょうか。
毎月のローン返済がキツい状況において、わざわざ割高になる取引をするということは、今後のあなたとあなたのご家族にとっての負担が大きくなる、ということに他なりません。
そこまでして、その家に住みつづけることは、今いちばん優先すべきことなのかどうか。
これは、あなたひとりで出せる答えではないでしょう。
これから、手をとりあっていくご家族は、どう思っているのかも聞き、しっかり話しあったうえで決めるべきことでしょう。
まとめ
今までご家族と一緒にすごしてきた、愛着のある家ですから、色々と思入れがあるのは当然でしょう。
念願のマイホームを手にしたときの期待感や、この家とともに家族を守っていくのだという責任感、それと同時にいろいろな重圧もあったかもしれません。
きっとそれは、ローンを組んだあなたにしか分からない感情でしょう。
しかしながら、責任感のつよい人であるが故に、住宅の問題をひとりで抱えこんでしまうことにもつながるのです。
私も今までに100組を超えるご家族のサポートをしてきましたが、カタチは違えど ”ご家族を守りたい” という想いは同じです。
住宅の問題というのは、時間の経過やご家族の状況によって、適切な対処法がかわってくるものです。
いくら、あなたが悩むことに時間を費やしても、一向に前には進まず、むしろ不安が募るばかりではないでしょうか。
数々のサポートをしてきた、専門業者のアドバイスも聞いてみることで、あなたとご家族にとっての最適な方法がみえてくるかもしれません。
時間があればその分、ご家族を守る選択肢は広がりますから、一日もはやく相談することをオススメします。