ネット上では、
「連帯保証人がいるから任意売却はできない」
「任意売却によって連帯保証人もブラックリストに載ってしまった」
「連帯保証人も家を取られてしまった」
などといった、任意売却をすることによって起こる、連帯保証人にたいする迷惑などといった影響や、そもそも連帯保証人がいると任意売却じたいできない!?、といった情報もみかけたりします。
あなたのことならまだしも、連帯保証人にどんな影響がおよぶのか、できるだけ迷惑をかけずにすむ方法はないのか、このあたりがハッキリ分からないでは、任意売却をしたいと思っても、躊躇してしまいますよね。
この記事では、連帯保証人がいる場合の任意売却について、くわしくお話ししていきます。
この記事の目次
連帯保証人とは
最近では、住宅ローンのみならず、無担保のローンでも立てることがふえている、「連帯保証人」というもの。
連帯とついてしますが、ただの「保証人」とは、なにが違うのでしょうか。
不動産における連帯保証人の、役割や義務はどうなっているのでしょうか。
連帯保証人の意味
引用元:コトバンク 連帯保証人とは
主たる債務者と連帯して、債務を負担することを約束した保証人。
通常の保証人が有する、
・催告の抗弁権…債権者である金融機関から返済を求められても、まず主債務者へ取り立てをするよう求める権利
・検索の抗弁権…債権者に、まずは主債務者の財産を返済にあてるよう求める権利
・分別の利益…連帯含む保証人が複数人いる場合、それぞれの債務負担は均等になる(保証人ひとりひとりが自分のぶんだけを返済)
この権利がなく、主たる債務者とまったく同じ立場となる。[/bq]
保証人がもつ3つの権利はないので、簡単にいってしまえば、債務者が払えないとなれば、そのまま連帯保証人に、同一の条件でひきつがれることになります。
そのため、連帯保証人になるということは、その債務を負ったも同然ということなのです。
住宅ローンにおける連帯保証人の役割
住宅ローンというのは、債務者ひとりでも問題ないと判断できれば、連帯保証人なしでも借り入れることはできます。
しかし、その住宅ローンを借り入れる人のほとんどが、年収数百万円にたいして数千万円という大きな金額の借り入れになるため、債務者ひとりの収入では借り入れられない金額であったり、ギリギリのところであったりします。
たとえ、収入にたいしていの借り入れが、ギリギリの金額でなかったとしても、勤続年数がみじかければ、今の収入としては問題なくても、その仕事がつづくかどうか分からないという点は、債権者にとって不安要素ともなるでしょう。
また、年齢が若すぎたり高齢であったりするのも、この先の状況の変化という点で、不安要素ととらえられるかもしれません。
金融機関としてもリスクの大きい取引であり、あちらこちらで”返済できない”と言われてしまっては、商売が成りたちません。
もしも債務者が返済できないという事態になっても、確実に回収ができるように、連帯保証人をつけることで、数千万円という大金を貸しているのです。
あなたの信用に、連帯保証人の信用をプラスするのが役割といえます。
そのため債権者も、誰でも連帯保証人として認めているわけではなく、それなりに収入があり、金融事故がないかなど、連帯保証人としてふさわしい人物かを審査してから、認めているのです。
連帯保証人の義務
もし債務者が払えなくなったとしても、同じ条件でそのまま引きつぐのが連帯保証人ですから、債務者と同じようなものです。
債権者としても、できるだけ回収するのに手間や費用をかけたくないと考えています。
あなたが返済できなくなったのなら、連帯保証人に返済能力があれば、あなたの代わりにそのまま返済をおこなってもらうのが一番早いのです。
仮に、あなたの債務が連帯保証人にいって、連帯保証人も払えないということになれば、あなたにつづいて連帯保証人もブラックリストに載ることになります。
”連帯”がつくことによって、あなたと同じ義務をおっていることになりますから、そこはあなたと同じということになります。
このあたりは、このあとの”連帯保証人への影響”の項目で、くわしく見ていきます。
連帯保証人がいても任意売却できる?
もしかしたら、できないという情報をみかけたこともあるかもしれませんが、答えとしては”条件をみたせばできる”ということになります。
任意売却には連帯保証人の同意が必要
連帯保証人だけでなく、もちろん債権者もふくめて全員、あなたが任意売却をすることにたいして、同意していなければなりません。
債権者が複数いる場合も、その全員ということになります。
連帯保証人がいるからできない、といった情報をみかけるのは、おそらく連帯保証人からの同意がえられていないことや、そもそも連絡が取れないことなどでしょう。
それか、連帯保証人に迷惑をかけるワケにいかないから、任意売却はできない。
という意味なのかもしれませんね。
任意売却の手続きとしては、連帯保証人がいないからできる、いるからできない、というワケではありません。
離婚する妻(夫)が連帯保証人のまま…それでも大丈夫?
不動産契約においては、離婚しているいないは、関係ありません。
逆にいうと、離婚届とは連動していないので、後にトラブルにならないよう、離婚前にしっかり話しあっておくべきところでしょう。
そのため、離婚した妻(夫)が連帯保証人であっても、何ら問題はありません。
この場合に問題になることといえば、離婚して疎遠になってしまったり、険悪な関係になってしまったりして、なかなか連絡が取れないことでしょう。
任意売却というのは、限られた時間のなかで行わなければならないものです。
そして、その契約に関わっている以上、連絡は取りあう必要があります。
相手が非協力的でなかなか手続きが進まない、必要な連絡をとりたいのに連絡がつかない、といったことになってしまえば、任意売却が間にあわないことは、大いに考えられます。
離婚前後というのは、感情的になってしまいがちです。
とにかく、今の関係を一日もはやくリセットしたい気持ちから、できない口約束をしてしまったり、消息をたたないようなことを言ったりしてしまうかもしれません。
離婚時にどんなことを言っていたとしても、新しい生活をはじめれば、人の心は変わるものです。
もしあなたが今後、離婚するつもりであるならば、任意売却もそうですが、離婚をして別々のくらしをはじめてしまう前に、話しあいや必要な手続きなどは、離婚前にすませておかれた方がよいでしょう。
連帯保証人への影響
ここは、一番あなたが気になっているところかもしれませんね。
住宅ローン返済ができない自分が、なにか影響をうけるのはやむを得ないと思えても、連帯保証人になってしまったがために、影響をうけてしまうとなれば、あなただって心中穏やかではないでしょう。
ここでは、よくいただくご質問をもとに、任意売却によって連帯保証人がうける影響について、お話ししていきます。
先にも少しふれましたが、任意売却をする時点で、あなたは滞納をおこしてしまっていますから、あなた自身はいわゆるブラックリストということになります。
しかし、連帯保証人については、あなたの代わりにきちんと返済さえおこなっていれば、ブラックリストにはなりません。
連帯保証人も滞納してしまえば、もちろんブラックリストに載ることになります。
これは、連帯保証人にも持ち家がある場合の話ですね。
連帯保証人が、あなたの債務を払えないということになれば、あなたの住宅ローン債権者が裁判をすれば、連帯保証人の不動産を、競売にかけることはできるでしょう。
しかし、連帯保証人の不動産においても、まだローンが残っていたとすれば、そのローン借入先金融機関が抵当権者として存在しています。
したがって、連帯保証人の不動産を処分したところで、そのお金は抵当権者にいくことになりますから、あなたの債権者が処分をのぞむ可能性はひくいでしょう。
すでに返済をおえている不動産である場合、その可能性はありますが、一定の要件をみたしていれば、守ることもできます。
不動産以外に処分できるような財産があれば、処分されてしまう可能性もあります。
このあたりは、弁護士がおこなっている内容にはなりますが、あなたのことではなく、あくまで連帯保証人のことです。
いきなり弁護士に相談にいくより、まずは経験豊富な任意売却専門の不動産会社に、あなたの任意売却の件とあわせて聞いてみるとよいでしょう。
まずそもそものお話しですが、任意売却をおこなったあと、残債の返済に関しては、債権者とあなたのあいだで、相談をして決めることになります。
当然、今のあなたの状況をふまえて、無理のない返済ができるよう、その点は債権者も協力してくれるでしょう。
交渉次第ではあるものの、残債の返済について相談をして決めた内容で、あなたがきちんと返済をおこなっていれば、それ以上は債権者も連帯保証人にまで返済を要求したりはしません。
もしその残債の返済についても、延滞などをおこしてしまえば、連帯保証人の財産を処分したり、口座を凍結したりするような事態に発展しかねません。
ただし、年金に関してだけいえば、守ることが認められている財産ですから、年金を取られてしまうことはありません。
連帯保証人に迷惑をかけない方法
コレがあったら苦労しない…と言いたいところなのですが、同意をえなければならないという時点で、迷惑をゼロにすることはできません。
しかし、かける迷惑を最小限におさえることはできるでしょう。
あなたが連帯保証人にできる、最大限の誠意といってもいいかもしれません。
それは、任意売却をして残った残債と、あなた自身がきちんと向きあっていくことです。
あくまで債権者の判断にはなりますから、「あなたが返済できないなら、あとは連帯保証人が返済しなさい」と、あなたの返済計画をみとめてくれないこともありますが、交渉次第ともいえるでしょう。
交渉が成立し、あなたの返済計画がみとめられたなら、きちんと返済をおこなっていれば、連帯保証人に金銭的な迷惑をかけることは避けれるでしょう。
こういった大切な交渉をするのは、あなたの任意売却をサポートする不動産会社ですから、経験豊富な信頼できるパートナー会社を選ぶべきでしょう。
連帯保証人をかえたい
離婚のみならず、連帯保証人というのは、なにかと関りが続いていくものです。
色々とある債務のなかでも、住宅ローンは何十年にもわたる返済ですから、連帯保証人とも特に長い関わりをもつことになります。
そんな中で、連帯保証人との関係が、絶対にかわらないとも言いきれないでしょう。
人と人のつながりですから、あなただけの想いや力だけで、相手との関係を維持できるものでもありませんしね。
連帯保証人の変更というのは、絶対にできないワケではありません。
実際に、連帯保証人を変えられたケースもあります。
しかし、難しいことであるとは、思っておいていただきたいです。
債権者も、あなたにお金を貸すとき、連帯保証人をふくめて審査をして、貸すことを決めたわけですから、その契約をまた変更するということに対して、前向きではありません。
新たに連帯保証人になる人物にもとめられる条件は、住宅ローン支払い能力がある・他にローンがない・過去に金融トラブルがないなど、厳しいものになるでしょう。
このあたりは、あくまでそれぞれの金融機関の判断になりますから、諦めずに相談をしてみましょう。
まとめ
あなたが住宅ローンの返済ができなくなってしまえば、連帯保証人に迷惑がかからないことはありません。
しかし、まだ任意売却を選択することができるのであれば、その迷惑を最小限におさえることはできるでしょう。
延滞をおこしてしまった事実を変えることはできませんが、まだ任意売却が間にあうのであれば、あなたを信じて連帯保証人になってくれた方への、最大限の誠意をしめすべきではないでしょうか。