競売にかけられてしまう前に、任意売却をしたいとは思うけど…
相談したら、今スグ退去することになるのでは…
心の準備ができていないのに、話を聞いてみたくて相談にいったら、考える時間もなく決まってしまって、慌ただしく引越し先をきめて、急かされるように引越し…
そんなふうに、急に状況がかわってしまったらと考えると、「とりあえず相談だけでもしてみたい」と思っても、怖くて相談にもいけませんよね。
任意売却をすることは、あなただけの問題ではなく、ご家族の生活にも大きく関わってくることですから、そのぶん不安も大きいでしょう。
この記事では、あなたが任意売却の相談をしにいってから、
・いつまで任意売却をしていられるのか
・買い手がきまってから、いつまで家に住んでいられるのか
・ある程度、引越しの準備をするような時間は取れるのか
など、実際に任意売却をはじめてから、売却をおえて新しい生活をスタートさせるまで、今の家にいつまで住めるのかといった、時間的猶予もあわせてみていきます。
この記事の目次
相談から任意売却完了までの期間
別の記事「任意売却の流れ」でも、おおよその期間を一覧にまとめていますが、あなたが相談をはじめてから、任意売却をおえて新しい生活をスタートさせるまでに、おおよそ3ヶ月~6ヶ月はかかります。
最短で2ヶ月という事例もありますが、実際はもう少しかかることの方が多いでしょう。
これだけ期間に幅があるのは、あくまで売却というものは、相手あってのことだからです。
あなたがいくら売りたいといったところで、買いたいという人がいなければ、売却は成立しません。
この期間に、手続きもそうですが、買い手をさがして、内覧をしたいようであれば、あなたの家の中を見せることもあります。
あなたもそうでしょうが、自分たちが住むために買う家であれば、建設中でもない限り中をみてから決めますよね。
たとえ建設中であっても、一度はその現場に足をはこんで、現地を見るでしょう。
それと同じことです。
たとえば、その買い手が所有だけして賃貸にだすつもりであったり、あなたの家が戸建てであれば、その土地がめあてで建物は自分ごのみに建てなおすつもり、などでない限り、内覧したいとなるでしょう。
そうして検討してから、買い手側がローンを組むとなれば、そのローン審査もしたりします。
いくら購入を希望していたとしても、買い手側の住宅ローン審査がとおらなければ、別の買い手をさがすしかありません。
その場合には、また少し時間がかかる可能性もあるでしょう。
そのため、あらかじめ「任意売却はいつまで住めるもの」と決まっているワケではなく、あなたの家の売却状況による、ということになります。
ただ、ひとつ言えることは、相談をして”任意売却をする”と決まったからといって、「今日明日に出ていく」とはならない、ということです。
そうはいっても、あまりのんびりしていると、たまたまあなたの家のあたりで、新居をさがしていた人がいたとすれば、スムーズに売却まですすんでいく可能性もないとはいえません。
ですから、任意売却を依頼したその日から、少しずつ整理・処分などをすすめておいた方がいいでしょう。
買い手が見つかるまでの期間
先に書いたとおり、あくまで売却状況によるところではありますが、目安としては2ヶ月~4ヶ月といったところでしょう。この期間に、あなたも内覧の対応などをしながら、買い手がつくのを待ちます。
逆にいうと、この買い手がついてない期間、あなたは今の家に住みつづけることができるでしょう。
しかし、債権者はいつまでも待ってくれるワケではありませんし、なにより一日一日、遅延損害金というあなたの負担が、増えつづけていくのですから、手放しに喜べることではありません。
不動産会社に依頼したのに、いつまでたっても内覧の希望がこない、内覧はあってもなかなか契約にいたらない、という時は、もしかしたらなにか他に原因があるかもしれません。
その時は、
「任意売却をして、売れなかったらどうなる?」
こちらの記事も参考にしてみてください。
売買契約をむすんでから明け渡しまでの期間
購入を希望する人があらわれ、その人が債権者側からも買い手として問題ないと判断されれば、売買契約をむすぶことになります。
契約をしてから、あなたが引越しをして、いつを明け渡し(引き渡し)日にするか、任意売却であれば、買い手とある程度は協議をして、調整することができます。
競売は強制的な側面がありますから、退去の日を協議することなど一切できませんので、その点は任意売却のメリットともいえるでしょう。
通常は、契約からおおよそ1ヶ月~1ヶ月半といったところですが、ここでよくある3つのご相談を挙げておきましょう。
退去までできるだけ長く期間をとりたい
売却がきまって安心してからでないと、新たな生活のこともなかなか考えられない。
だから買い手がついて売却がきまってから、ゆっくり新たな住まいをさがして、あわてることなく引越しをしたい。
契約後の明け渡し日が、協議できるのであれば、できれば1ヶ月といわず3ヶ月くらいにしてもらいたい。
あなたも、そう思われるかもしれませんね。
結論からいうと、あなたの希望を伝えることはできますが、たとえ買い手がOKしたとしても、債権者がOKしないでしょう。
なぜならば、任意売却をしている間、あなたの住宅ローン返済はストップしています。
そして、不動産売買においては、
『明け渡し日=決済日(手付金をひいた物件残代金の支払い日)』
債権者は、一日も早く回収したいと思っていますから、買い手がついたのなら、早く決済をして物件の残代金を受けとりたいのです。
そのため、買い手がきまったのに、代金の回収がその3ヶ月後というのは、よほどの事情でもない限り、債権者としても納得することはないでしょう。
逆に、債権者からのあなたの印象が悪くなってしまい、もう任意売却そのものを認めない、ということにつながることも考えられます。
そうなれば、もうあなたは競売をするよりほか、選択肢はなくなってしまいます。
引越しといっても手元にお金がない
明け渡し日前までに、あなたが引越しをすませてから、明け渡し日にカギを渡すとともに、買い手から物件残代金を受けとります。
つまり、引越し費用がでるといっても、引越したあと決済日に受けとる物件残代金から、あなたの手元に一部残る、という考え方になります。
最近よくネット上で見かける、「引越し費用を必ずだします」と目を惹くような文言を謳っている業者。
あくまでそれは債権者側が配慮があった結果として引越し費用が出せるのであって、「任意売却=引越し費用がでる」と、はじめから決まっているものではないのです。
それから、買い手側に引越し費用を負担してもらう、というケースもゼロではないのですが、そもそも買い手や債権者にとって、あなたの引越し費用を負担する義務はありません。
あなたの状況を考慮して、善意で認めてくれていることなのです。
ヘタに”買い手側に負担してもらう”などと条件をつけてしまうと、それが原因で買い手がつかない、といったことにもなりかねませんので、くれぐれも”出してもらうのが当然”と思わないようにしてください。
最初にもお伝えしましたが、任意売却の相談をはじめて、スグに引越しではありません。
そして、任意売却中は、住宅ローンの返済を待ってもらっているのです。
数か月あるのですから、あなたもその間に、手元に確保する努力をしましょう。
もし確保できない事態がおこってしまったら、その時はどうなるのかなどは、事前にあなたのパートナー会社へ確認しておきましょう。
新しい住まいがみつからず、間にあわない
原則、契約時に取り決めた明け渡し日を延長することはできません。
そんなことをしてしまえば、買い手側から賠償請求をされてしまう可能性もありますし、債権者にとっても回収する日が先になることになりますから、あってはならないことです。
新しい住まいが見つからないから、というのは理由になりません。
見つからないというのは、あなたが希望する条件に100%当てはまっていないだけであって、今の家から遠くても狭くても、空き物件は必ずどこかしらかに、あるハズですからね。
そうならないためにも、今後のスケジュールなどはしっかり頭に入れ、準備をしておく必要があります。
もっと任意売却の期間をのばしたい
ここまでお話ししてきたことで、もうおわかりかと思います。
債権者もいつまでも待ってはくれませんから、しかるべき時がきたら、競売の申し立てをおこない、あなたの家は競売にかけられていくことになるでしょう。
当初は債権者も、任意売却の方が競売より高値でうれる可能性もあり、そのぶん多く、そして早く回収できるかもしれない。競売費用もかからずにすむ。
などと、任意売却を認めてくれていたとしても、このまま売れずに日が経っていくのであれば、競売でもいいから早く回収した方がいい。そう思うようになっていくのは、当然のことでしょう。
債権者だけでなく、あなたにとっても売却が長引くということは、遅延損害金がふえつづけるということであり、このさきのあなたの負担がふえることにつながるのです。
もし競売になったとしても、申し立てから落札されて競売がおわるまで、おおよそ半年はかかるでしょう。
それよりも早く売却できる可能性があるのも、任意売却のメリットといえますが、そのぶん遅延損害金もふえずにすむのです。そのことを、忘れないでください。
売ってすべてが終わるワケではなく、あなたはご家族とともに、新たな生活をスタートさせるのです。
一日もはやく生活を再建できるように、あとに残る負担はできるだけ少なくする、これも大切なことです。
任意売却をしたら、もう今の家には住めなくなる?
『売却=今の家を出ていく』
必ずしもそうではありません。
今の家、今の地で、何年、何十年と今まで生活をしてきたのですから、
・住み慣れた愛着ある家を離れたくない
・この歳から誰もしらないところへ越したくない
・子どもを転校させたくない
・ここからでないと妻が仕事に通えない
・両親の面倒があるから、ここから離れられない
色々なご事情や、想いがあるでしょう。
絶対にできるというワケではないのですが、一定の条件をみたすことができれば、
「リースバック」
「買戻し(親子間売買・親族間売買)」
といった方法をとることもできます。
これらの方法が、どんな内容でどんな条件をみたす必要があるのか、それはまた別の記事でくわしくお話ししていきたいと思います。
まとめ
ここまで、任意売却をした場合、どのくらいの期間がかかるのか、そして今の家にいつまで住めるのか、ということについて、お話ししてきました。
ここに記載した期間などは、あくまで目安であり、必ずしも「任意売却になったら、いつまで住める」といった定めがあるわけではありません。
早くに買い手がつけば、2〜3ヶ月ということもあるでしょうし、半年かかることもあります。
ここで言えることは、相談にいって今日明日スグに、引越すことはないということです。
それから、いつまで住めるのだろう…と、あなたがモヤモヤしている間にも、刻一刻と時間は過ぎているということ。
今のあなたの状況から、どのような策がとれるのか。
そして、その中でも、何があなたやあなたのご家族にとって、最善の策になるのか。
任意売却においては、どれくらいの時間が残されているかによって、あなたがとれる策も、限られてきます。
いくら情報をみることに時間を費やしても、結局、相談してみなければ、そのモヤモヤが晴れることは、ないのではないでしょうか。